パブリック・コメントとは

住んでいるまちで、ごみの出し方のルールが変わる。近くの図書館が建て替えられる。学校の数が見直される。 こうしたことを決める前に、自治体が「こんなふうにしようと考えています」と案を見せて、 意見を集める仕組みがあります。これがパブリック・コメント(略してパブコメ)です。

決まってしまってから「知らなかった」「反対だった」と言っても、変えるのは簡単ではありません。 だから、決まる前に意見を言える時間が用意されています。

1. パブリック・コメントってなに?

自治体や国が新しい決まりや計画をつくるとき、まだ案の段階でその内容を公表し、広く意見を集める仕組みです。

集まった意見は担当する部署が読んで検討します。案に取り入れられるものは取り入れ、 取り入れない場合も、なぜそうしたのかという考え方が公表されます。

呼び方は場所によって違います。国では「意見公募手続(いけんこうぼてつづき)」と呼びます。 自治体では「パブリックコメント手続」「意見提出手続」「市民意見提出制度」など、自治体ごとにさまざまです。 このサイトでは、まとめて「パブリック・コメント」「パブコメ」と呼んでいます。

2. どんなことが対象になるの?

自治体の場合

暮らしに近いものが多くなります。

一方で、次のようなものは対象にしないと決めている自治体が多くあります。

何を対象にするかは自治体ごとに決められています。

国の場合

国は行政手続法という法律で、対象が4種類に決められています。政令・省令など(法律を実際に動かすための細かい決まり)、 審査基準(申請を許可するかどうかを判断するときのものさし)、 処分基準(違反があったときにどう対応するかのものさし)、 行政指導指針(役所が「こうしてください」とお願いするときの方針)です。

法律そのものの案や、国の予算は、この仕組みの対象ではありません。

3. パブリック・コメントの流れ

  1. 自治体が案をつくる ごみ出しルールの見直しなど
  2. 案を公表して意見を募集 募集期間は30日程度
  3. 住民などが意見を出す 郵送・メール・フォームなど ここが参加できるところ
  4. 自治体が意見を検討する 必要に応じて案を直す
  5. 意見と考え方を公表する どんな意見をどう扱ったか
  6. 条例や計画として決まる 実際のルールになる

私たちが関われるのは、案が公表されてから締切までのあいだだけです。 募集期間は限られているので、締切に気づけるかどうかが大切になります。

4. なぜこの仕組みがあるの?

理由は大きく3つあります。

決まる前に意見を言えるようにするため。 一度決まってしまうと、あとから変えるのは簡単ではありません。

決め方を見えるようにするため。 どんな意見が集まり、それをどう扱ったのかが公表されるので、決まっていく過程が外から見えます。

決める側が気づいていないことを拾うため。 毎日その道を歩いている人、その施設を使っている人にしか分からないことがあります。

5. いつからあるの?

日本では、まず1999年に国が政府内の取り決めとしてこの仕組みを始めました。 その後2000年ごろから、一部の県が独自にパブリック・コメントを取り入れ始め、 2001年ごろには条例にする市町村も出てきました。

国が法律として正式な仕組みにしたのは、そのあとです。2005年6月に行政手続法が改正され、 2006年4月1日から実施されています。つまり、自治体のほうが法律より先に始めていた部分があります。

いまも、自治体のパブリック・コメントはこの法律の対象外です。 法律は自治体に対して「この法律の考え方にそって必要な取り組みをするよう努めてください」と求めているだけで、 義務ではありません。そのため各自治体が、条例や要綱で自分たちのルールを決めています。 自治体ごとにやり方が違うのは、これが理由です。

6. だれが意見を出せるの?

年齢や国籍は関係ありません。 何歳でも意見を出せます。選挙権のない18歳未満でも出せますし、日本国籍がなくても出せます。

ただし、自治体によって「出せる人」の範囲が決められていることがあります。 多くの自治体は、意見を出せる人を次のように定めています。

「どなたでも」としている自治体もあります。範囲は自治体ごとに違うので、 募集ページの「意見を提出できる方」という欄を必ず確認してください。

なお、国のパブリック・コメントにはこうした制限はなく、誰でも出せます。

7. どうやって出すの?

探す

国のものは「e-Govパブリック・コメント」というサイトに、募集中のものと過去の結果がまとまっています。 自治体のものは、それぞれの自治体のサイトを見にいく必要があります。 このサイト「パブコメ掲示板」では、都道府県と政令指定都市のうち41自治体分をまとめて見られるようにしています。

読む

募集ページには、案の本文(PDFのことが多いです)と、募集要領(締切・提出方法・意見を出せる人などが書かれたもの)があります。 全部読むのが大変なときは、概要版や「案の概要」から読むとよいです。

出す

提出方法は案件ごとに違います。よくあるのは、電子フォーム(自治体サイトの入力画面)、電子メール、郵送、ファクス、窓口へ持参、です。

多くの場合、氏名・住所・連絡先などの記入を求められます。 「意見を出せる人」の条件に当てはまるかを確認するためです。

締切は「必着」か「消印有効」かで意味が違います。 必着はその日までに届いていること、 消印有効はその日までに郵便局で受け付けられていること(消印の日付で判断されます)です。 郵送のときは特に注意してください。

8. どう書けばいいの?

専門知識は必要ありません。次の4つがあれば十分です。

  1. 案のどの部分についての意見か(「◯ページの△△について」など)
  2. 賛成か、反対か、それとも別の提案か
  3. そう考える理由
  4. できれば、代わりの案

長い必要はありません。数行でも構いません。 「毎日この道を通っているが、朝の時間帯はここが危ない」といった、 実際に生活している人にしか分からないことは、とても価値のある意見です。

なお、出した意見は、氏名や住所などの個人情報を除いて、あとで公表されます。 公表されて困ることは書かないようにしてください。

9. 出した意見はどうなるの?

自治体や国は、集まった意見をひとつずつ読んで検討します。 取り入れられる意見は案を直すのに使われ、取り入れない意見についても、なぜそうしたのかという考え方が示されます。

検討が終わると、条例や計画が正式に決まるのと同じころに、どんな意見が集まったか、 それに対する自治体(国)の考え方、案をどう直したか、が公表されます。

ただし、次の点は注意が必要です。

10. 選挙とはどう違うの?

選挙 パブリック・コメント
何を選ぶか 人(候補者・政党) 政策や計画の中身
参加できる人 18歳以上の有権者 年齢・国籍を問わない(自治体により範囲の定めあり)
決まり方 票の多さ 多数決ではない
回数 数年に一度 年に何件も

選挙では候補者や政党を選びますが、自分の考えとぴったり同じ人がいるとは限りません。 パブリック・コメントでは、ひとつひとつの案について直接意見を言えます。

大事なのは、パブリック・コメントは投票ではないということです。 賛成が100件、反対が10件だったから賛成に決まる、という仕組みではありません。 数ではなく、理由の中身が見られます。 同じ文章を何通送っても、案に取り入れられやすくなるわけではありません。

11. 国と自治体では何が違うの?

自治体
根拠 行政手続法(法律上の義務) 各自治体の条例や要綱(法律上は努力義務)
呼び方 意見公募手続 自治体ごとにさまざま
対象 政令・省令など4種類 条例案、基本計画、施設の計画など
意見を出せる人 誰でも 範囲が定められていることが多い
募集期間 原則30日以上 30日を原則とする自治体が多いが、自治体による
探す場所 e-Govパブリック・コメント(1か所) 各自治体のサイト(ばらばら)

国が決めることは全国に影響しますが、自分の生活とのつながりは見えにくいことがあります。 自治体が決めることは影響する範囲は限られますが、そこに住む人・働く人・学ぶ人にとっては、より直接的です。

12. よくある誤解

「意見を出すと返事がもらえる」
個別の返事は届きません。まとめて公表されます。
「賛成が多ければ通る」
多数決ではありません。数ではなく理由の中身が見られます。
「専門知識がないと出せない」
必要ありません。生活の実感で十分です。
「長い文章を書かないといけない」
数行で構いません。
「出した意見は公表されない」
原則として公表されます(氏名や住所などの個人情報は除きます)。
「その自治体に住んでいないと出せない」
国のものは誰でも出せます。自治体は募集ページで確認してください。
「意見を出せば必ず変わる」
変わらないこともあります。それでも記録には残ります。

13. もっと知りたい人へ

このページは、パブリック・コメントの仕組みをわかりやすく紹介することを目的に、パブコメ掲示板が作成したものです。 公的機関が作成したものではありません。実際に意見を提出するときは、 必ず各自治体・省庁の公式ページで最新の内容をご確認ください。